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技術コラム
手付け・手載せ・マシン実装の違いと最適な実装方式の選び方

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プリント基板の部品実装において、「手付け実装」「手載せ実装」「マシン実装」の3つの方式は、それぞれ適した用途が異なります。
生産数や部品の特性、基板の材質や構造によって最適な方法を選ばなければ、品質やコスト、納期に大きな影響を与える可能性があります。 本記事では、ファブレスメーカーとして数多くの実装現場と関わってきた当社の経験をもとに、部品の実装方式の違いと使い分けのポイントを解説します。

実装方式3種の比較と基本概要

実装方式実装方法適した条件
手付け実装作業員がはんだごてで部品を直接はんだ付け試作・少量生産、挿し部品が多い場合など
手載せ実装クリームはんだを印刷した基板に部品を手で配置し、リフローではんだ付けバラ部品やフィーダー非対応品の部品など
マシン実装マウンターを用いて部品を搭載し、リフローではんだ付け量産案件、精度要求が高い、極小・狭ピッチ部品、BGA・LGAなど

手付け実装 ~試作や特殊部品の実装に適した柔軟な方式~

手付け実装は、作業員がはんだごてを使って部品を一つひとつ実装する方式です。以下のような条件に適しています。

手付け実装が適しているケース

  • 生産枚数がごく少ない試作案件
    量産の見込みがある試作であればマシン実装の方が望ましいですが、ごく少量な生産や、開発試作のような一度きりのしさくなら手付けが最も合理的です。
  • メタルマスクが必要ない
    クリームはんだ印刷を行わないため、マスクの用意が不要です。
  • 差し部品が多い場合
    挿入部品が多く、マシン実装が向かない場合は手付け実装が合理的です。

注意点

  • 小型部品(0402チップ)や狭ピッチ部品(0.3mmピッチ)、リードが外側に出ていない部品(QFN、BGA、LGAなど)は不向き
  • 美観や仕上がりはマシン実装に劣る
  • 熱に弱い部品の場合、はんだこての熱で部品が溶けてしまう場合がある
  • 熱に強い部品(大型コイル、コンデンサ)の場合、はんだ上りが不十分になる
  • アルミや銅基板など放熱性が高い素材は、熱が逃げてはんだが溶けないケースも。特殊なノウハウが必要

手載せ実装 ~マシンで載せられない部品」を扱う中間的手段~

手載せ実装は、クリームはんだを印刷した基板の上に、作業員が部品を手で載せ、リフロー炉などではんだ付けを行う方式です。マシンで扱えない特殊部品や、バラで支給された部品の実装に用いられます。

手載せ実装が適しているケース

  • フィーダーにセットできない部品
    テープの長さが足りない、カセットサイズが合わないなど、マシン実装が難しい場合。
  • バラで支給された部品
    マウンターが対応不可のため、手で載せるしかないケースが多い。

注意点

  • 部品配置の精度や再現性は作業者に依存してしまう
  • 複数ロットでの品質安定性にやや不安がある
  • メタスマスクの製造費用がかかる
  • 部品点数が多い基板の場合は対応が難しい場合がある

マシン実装 ~量産案件や精度が求められる場合に適した方式~

マシン実装は、自動マウンターによって部品を高速・高精度で実装する方法です。品質の安定性が高く、大量生産向けの方式となります。

マシン実装が適しているケース

  • 基板の枚数が多い場合(中量~大量)
  • QFN・BGAなど電極が見えない(=手付けできない)部品
    裏面電極の部品は位置ズレの確認が目視できないため、自動実装+X線検査が必要です。
  • 部品が小さすぎる・狭ピッチのもの(0603、0402、0201、0.3mmピッチなど)
  • 仕上がり品質を重視したい場合
  • リピート生産がある場合(2回目以降のリピート生産からイニシャル費が発生しない

注意点

  • プログラム作成費、段取り費用、メタルマスクの製造費用など、イニシャルコストがかかる
  • 一度段取りした後の変更が難しい

また、マシン実装でも、すべての部品を載せられるとは限らず、一部の部品は手載せとの併用が必要となることもあります。

実装方式を選択する際に考慮すべきポイント

試作か量産か

少量の試作案件では手付け実装が適していますが、量産を前提とした案件では、あらかじめマシン実装で試作を行わないと、試作時と量産時で基板の仕上がりに差が出てしまいます。
量産時のコストメリットか、スピーディーな検証を行うことを優先するかなど、案件の特性に応じて判断することが重要です。

部品・基板の特性

製造する基板の材質や実装する部品の種別や点数によって、実装方式の向き不向きが異なります。下記に例をあげます。

  • 電極が裏面にある(BGA、QFN、LGAなど)→マシン実装+X線検査
  • 熱に弱い部品、熱容量が高い部品は手付けが困難
  • アルミや銅など放熱性が高い基板への部品実装は手付けが困難

イニシャルコスト

プログラム費、段取費、メタルマスク製造費など、初期費用がどれだけかけられるかコストバランスを見極めて手法を選択する必要があります。

実装方式の選択にお困りの際はAPNにご相談ください

私たちはファブレスメーカーとして、基板設計〜製造・実装まで多様な案件を経験してきました。
特定の設備に依存しない、複数の実装会社とのネットワークを活かして、案件ごとに最適な実装方法を選定・提案するのが私たちの強みです。

  • 初期費用を抑えた試作提案
  • 部品特性や材料に応じた適切な方式の選定
  • 難実装部品に対応可能な会社の選定

どの方法がベストなのかお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。

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